官民連携で水インフラを守る

水分野への挑戦の背景

社会課題と解決策としての「水の官民連携」の推進

現在、日本のインフラ事業は深刻な局面を迎えています。特に水分野においては、人口減少に伴う利用料金収入の減少に加え、自治体における技術系職員の不足、さらには施設の老朽化による管理コストの増大が重なり、持続可能な運営が困難になりつつあります。
こうした課題を解決する手段として、官民連携手法(PPP/PFI)の推進が不可欠となっています。政府はPPP/PFI推進アクションプランを策定して目標を掲げており、ウォーターPPPの活用を通じて、民間事業者のノウハウを活用し、運営の効率化と持続可能性の確保を目指しています。

従来型の官民連携手法からコンセッション方式への移行

政府が推進する官民連携手法の中でも、インフロニアが特に注力しているのがコンセッション 方式です。コンセッション方式は、自治体から仕様どおりの業務を受託する従来型の手法とは異なり、自治体が求める要求水準を満たすことを前提に、民間事業者自らが事業の収支を管理しながら中長期にわたって施設の運営・維持管理を担います。そのため、事業者の創意工夫を活かしやすく、より自由度の高い事業手法といえます。

インフロニアグループでは、これまでに水分野のコンセッション案件を3件受注し、さらなるコスト低減と運営力の強化に注力しています。水インフラ事業は、スタジアム・アリーナ等と比較して、収入を増加させることが難しいという性質があるため、徹底したコストコントロールを通じて利益を創出し、持続可能な運営を実現することが重要です。
特に、浄水場の建設から施設運営までを一体的に担うBT+コンセッション方式は、中長期的な運営を見据えた設計・施工を可能にするため、当社の強みであるエンジニアリング力を発揮しやすい事業スキームです。豊橋浄水場コンセッションでは、この方式が国内の水道事業で初めて採用されており、浄水場の建設から運営までを一気通貫で担っています。

豊橋浄水場コンセッションでは狭隘な敷地内で既設浄水場を稼働しながら更新する必要があったため、浄水処理方式を民間事業者が提案できるスキームが採用されました。当社はコンソーシアムを主導し、省スペース性に優れた技術を採用することで、要求水準の14年に対し9.5年の短工期を実現する計画を立案しました。この計画は、建設コストの低減と安定的な水処理の両立を可能とするもので、請負で培った技術力を最大限に発揮した提案となりました。

2026年7月には、水ingが当社グループに仲間入りし、水インフラ事業に一気通貫で取り組む体制がより強固なものになりました。今後は、同社が培ってきた運営・維持管理ノウハウを活用しながら、水インフラ事業における効率化を進めてまいります。

インフロニアグループの受注実績

https://www.osakakousui.com/
https://www.miuragesuido.com/
https://www.infroneer.com/jp/news-article/2025/11/10/1080.html

水分野における価値創造の実践事例

当社のコンセッション案件では、市民の生活に欠かせない水インフラの安定的かつ持続可能なサービスの提供のため、長年培ってきたエンジニアリング力を活かし、様々な創意工夫を凝らして運営しています。

POINT 1エンジニアリング力を活かした最適な選択と実行

インフラ施設の維持管理においては、公共サービスの性質上、システム全体の極めて高い信頼性と確実な動作保証が求められます。そのため、設備全体の性能保証を担う新設時のメーカー仕様を基準とし、トラブル時の原因究明や修繕対応の多くをメーカーに委ねる管理体制が一般的となっています。 しかし、この包括的な管理構造においては、施設管理者側で独自の技術的評価や判断を下す機会が減少し、内部にエンジニアリング力が蓄積されにくいという課題があります。その結果、設備の部分的な劣化や軽微な修繕に対しても、システム全体の保証を維持する観点から、設備全体の更新(いわゆるベンダーロックに類する状態)が推奨される傾向にあり、コスト削減を阻む要因の一つとなっています。

みおつくし工業用水コンセッションでは、この構造的課題に対し、事業者自らが技術・品質に関する「責任(リスク)を負う体制」を構築することで最適化を図っています。設備ごとの劣化状況を自ら適正に評価・診断できる「高いエンジニアリング力」を活かし、必ずしもメーカー仕様に縛られない柔軟な対応を目指しています。部分補修や代替部品の活用など、自らの責任のもとで最適な選択肢を検討・実行することで、安全性と信頼性を担保しつつ、コストの最適化と設備の長寿命化を実現しています。

POINT 2データに基づくインフラマネジメント

みおつくし工業用水コンセッションでは、膨大な管路・環境データを活用し、AIによる漏水リスク予測によって調査対象箇所を効率的に絞り込み、漏水調査の高度化・効率化を進めています。また、当社グループが開発した「資産台帳AIシステム」は、インフラ運営事業の開始時に自治体が保有する図面や点検記録などの膨大な資産関連資料を資産台帳へ自動で紐付けることで、データを効率的に管理し、設備の不具合発生時にも必要な図面や過去の点検・修繕履歴へ迅速にアクセスできる環境を実現します。
豊橋浄水場コンセッションでは、本システムを基盤に統合アセットマネジメントを構築し、施設・設備の状態を一元管理しています。これにより、長寿命化計画や中長期修繕計画の精度向上を図ると共に、データに基づくヒト・モノ・カネの最適配分を実現し、効率的かつ持続可能なインフラマネジメントを推進します。

POINT 3再生可能エネルギーの導入

三浦下水道コンセッションでは、グループ会社である日本風力開発が運営する卒FIT 風力発電と太陽光発電を活用し、2026年度より下水道施設の再生可能エネルギー100%運営を実現しました。発電所が特定できる再生可能エネルギーを安定的に調達することで、電力価格変動リスクを低減し、公共性の高い下水道事業の安定運営に貢献しています。また、本取り組みは三浦市が掲げる「ゼロカーボンシティみうら」の具体化にもつながるものであり、地域の基幹インフラである下水道事業を通じて脱炭素化を推進しています。

※卒FIT:再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定めた固定価格で電力会社が買い取る「FIT(固定価格買取制度)」の買取期間が満了した状態。風力発電の買取期間は20年
日本風力開発が運営する銚子小浜風力発電所(卒FIT)