自然再興

自然再興

方針・考え方

インフロニアグループは、事業活動のあらゆる場面において自然資本の恩恵を受けると同時に、土地利用や資源調達、建設・運営・更新といったバリューチェーン全体を通じて、自然環境にインパクト(影響)を与えていることを認識しています。
こうした認識のもと、インフラに求められる安全性・機能性・耐久性を確保しながら、自然の機能を活かし、保全・回復につなげる取り組みを推進しています。
当社グループは、生物多様性の損失を抑制し、反転を目指す「ネイチャーポジティブの実現」を目指しています。2022年に採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組み(GBF)が掲げる「2050年ビジョン(自然と共生する世界)」や2030年までのグローバル目標を踏まえ、カーボンニュートラルや資源循環の取り組みと連動した統合的なアプローチを採用しています。
具体的には、調達・設計・施工・運営・維持管理といった各段階において、自然への影響低減と価値創出の両立を図るとともに、自然環境が有する多様な機能を社会課題の解決に活用するグリーンインフラの展開を進めています。また、インフラのライフサイクル全体を通じて、自然資本への依存と影響を適切に把握し、自然との共生を考慮した事業活動の実践に取り組んでいます。

また、TNFD(自然関連財務情報タスクフォース)提言を踏まえ、自然関連の依存・影響・リスク・機会の把握と情報開示の充実を進めています。主要事業会社における分析・評価結果を活用しながら、グループ全体で自然資本に関する理解を深め、経営への反映を図っていきます。
今後も、地域社会や自治体、研究機関、事業パートナーなどの多様なステークホルダーとの連携を通じて、自然と共生するインフラのあり方を実践的に探求し、地域の安全・安心と持続可能な社会の実現に貢献していきます。

三井住友建設ではTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures、自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った依存と影響、リスクと機会といった自然関連課題の分析・評価・開示を行っています。

目標

当社グループは、事業活動を通じて自然環境への影響を適切に管理し、地域社会と共生するインフラの実現を目指しています。そのため、自然資本への依存と影響を踏まえ、以下の重点活動を軸に取り組みを推進します。

地域と連携した活動の推進

地域や自治体、研究機関等と連携し、それぞれの地域特性に応じた取り組みを通じて、自然環境の保全と持続可能な地域づくりに貢献します。

持続可能な森林づくりに貢献する木材利用の拡大

適切に管理された森林資源の活用を通じ、森林の循環利用と価値向上を促進し、サプライチェーン全体での環境負荷低減を図ります。

土地利用における生物多様性への影響の最小化

インフラの計画・設計・施工・維持管理の各段階において、生物多様性への影響を把握し、回避・低減を重視した土地利用を推進します。

水資源の効率的な運用

水使用量の抑制や適切な排水管理を徹底し、自然の水循環への影響を考慮した事業運営を通じて、水資源の持続可能な利用に取り組みます。

これらの活動を通じて、当社グループは、安全・安心な社会基盤の提供と環境価値の向上を両立させ、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

実績

・自然共生サイト認定取得 1 件(累計)
・木材調達量 8,993㎥

体制

インフロニアの自然再興の取り組み事例

地域と学ぶ、人と自然の共生

前田道路では、2022年度より小笠原諸島において、次世代技術者を対象とした小笠原環境教育プロジェクトを実施しています。本プロジェクトでは、「インフラと生物多様性の共生」をテーマに、4か月にわたり生物多様性や道路インフラ、小笠原の独自生態系について学び、現地での環境保全活動に参加しています。2025年度は全国10大学から12名が参加し、地域ボランティアによる森林再生活動への参画、自然に配慮した道路舗装に関する議論、小笠原の生態系と歴史を体感するトレッキングを行ってきました。地域と連携した学びと実践を通じ、自然と共生するインフラのあり方を次世代へつなぐ取り組みです。

<小笠原環境教育プロジェクトの様子>

森林再生学習
生態系と歴史を学ぶトレッキング

ICI総合センター「自然共生サイト」に認定

前田建設ICI総合センター(茨城県取手市)の外構は、敷地全体を一つのビオトープと見立てたランドスケープ計画に基づき整備されています。中心部には、種々の水生植物を配した約2,000㎡の水辺空間を創出し、整備から5年以上が経過した現在では、ギンヤンマなどのトンボ類、ニホンアマガエルなどの両生類、カルガモをはじめとする多様な野鳥が利用する生態系が形成されていることが確認されています。
また、希少種を育むコナラを中心とした既存林は可能な限り保全し、新たに造成したエリアには在来種によるカバープランツや中低木・高木をバランスよく配置しています。さらに、近年減少が指摘されている在来種チガヤを主体とした草地の創生にも取り組み、多様な生物の生息・生育環境の確保を図っています。
こうした取り組みの成果を継続的に評価する指標として、ICI総合センターのICI LABでは公益財団法人日本生態系協会による生物多様性評価「JHEP認証」を重視しており、2018年に最高ランクであるAAA認証を取得、2023年10月の更新認証においてもAAAランクを維持しています。
さらに2024年10月には、民間の取り組みによって生物多様性の保全が図られている区域を環境省が認定する「自然共生サイト」にも認定され、OECM(保護地域以外で生物多様性保全に資する区域)として国際データベースへ登録されています。これらの外部評価・認定を重要な指標として受け止めながら、ICI総合センターを「持続可能な自然環境保全と創出の核となる場所」と位置づけ、研究開発や普及啓発を通じたネイチャーポジティブの実現に引き続き貢献していきます。

ICI総合センターのビオトープ
自然共生サイト認定ロゴ

舗装と緑の共存

街路樹など都市の緑化高木は、固く転圧された舗装に囲まれ、十分に根を広げることができず、倒伏や根上がりの要因になっています。倒伏リスクを回避するために、大きな樹冠を持つ街路樹を伐採し、ハナミズキに代表される比較的生長が遅く葉ぶりの小さな樹種への植替えもみられます。公共インフラにおいて市民の安全確保は最優先事項ですが、過度の予防保全は生物多様性の後退を招くと共に、緑陰や蒸発散の減少が夏季の街路の高温化に拍車をかけ、熱中症の危険を高めるという別の都市問題も引き起こしています。前田道路では、「舗装と緑が共存できる社会」の実現と、ヒートアイランドの緩和や都市型水害の抑制などの社会課題を解決する手法として、耐圧植栽基盤システム「MDグリーンインフラ工法®」を開発しました。この工法は、舗装下に樹木が根を張れる土壌空間を設けることで、樹木が健全に生育できる環境をつくることができます。これまで難しかった場所への高木植栽が可能となることからも、ネイチャーポジティブの実現に貢献できる工法です。

【工法独自の機能】

(防災・安全機能)
  • 根系誘導/根系域拡大 …自立安定と健全な生長により倒伏と根上がりを抑制
(グリーンインフラ機能)
  • 雨水流出抑制 … 一時貯留(土壌保水力)と浸透能力により雨水をコントロール
  • コンポスト  …舗装下に設けた健全な土壌生態系(微生物環境)を活用し堆肥化促進

【工法導入による副次的な効果】

  • 生物多様性  …健全に生長した樹木は多くの生き物の棲みかを提供
  • 火災延焼防止 …阪神淡路大震災でも街路樹が延焼を遅らせる効果があることを確認
  • 火災延焼防止 …阪神淡路大震災でも街路樹が延焼を遅らせる効果があることを確認
  • 暑熱環境緩和 …緑陰の形成により直射日光遮断し舗装への蓄熱を回避、蒸散作用
工法イメージ
工法によるグリーンインフラ機能と効果

倒木・落枝リスクを可視化

三井住友建設では、AIによる画像解析を活用した樹木リスク評価システム「tree AI®(ツリーアイ)」を開発しました。倒木や落枝の恐れがある樹木を簡易かつ効率的に評価し、点検結果をデジタルで可視化することで、計画的な樹木管理を支援します。自然環境の保全とインフラの安全・安心を両立させる手法として、自治体等での実証を進め、自然を“管理する”視点から持続可能な社会基盤の構築に貢献します。

撮影の様子
AIによるリスク評価画像

インフロニアの森林整備活動

当社は、インフロニアの森およびMAEDAの森を全国に5か所有しており、地元の方々と協力しながら森林保全・整備活動を継続しています。2025年度は、当社グループの事業所が主体となり、5回の森林整備活動を実施しました。

森林整備面積 
4.7ha (≒東京ドーム1.0個分)

森林整備参加人数 
250人

インフロニアの森たかもりでの森林整備活動の様子
森づくり講義の様子
タイでの森林整備の様子

環境

環境マネジメント 気候変動 TCFDに基づく情報開示 循環経済 汚染防止 自然再興 生物多様性タイムライン 水の安全保障 環境データ