インフロニアグループでは、「ガバナンス」を「健全なリスクテイクを行って新しい事業領域にチャレンジするために必要不可欠な仕組み」と位置づけ、強化に取り組んでいます。当社が目指す「総合インフラサービス企業」実現のためには、当社グループが行ってきた事業に取り組むだけではなく、上流下流を問わず、インフラマネジメントにおけるあらゆる領域に新たにチャレンジしていかなければなりません。反面、未知の領域へのチャレンジにはリスクが伴います。そのため、リスクを適正に評価し、経営者が健全なリスクテイクを行うことを担保する仕組みの整備が必要となります。高度なガバナンス体制をとることによって、リスクマネジメントを適正に行っていることが制度上担保されているからこそ、経営者は、リスクを取るという経営判断を安心して行うことができる。未知の領域にチャレンジできる。そのチャレンジが「総合インフラサービス企業」の実現に近づく。当社では、これこそが「ガバナンス」の本質であると考え、指名委員会等設置会社としてガバナンスの強化に取り組んでいます。
インフロニアの事業展開等に関し、リスク要因となる可能性がある主な事項について、まず各事業会社のリスク管理委員会でリスク情報、事象の洗い出し、リスク対策の実効性の審議を行います。そして四半期に一度開催されるインフロニアリスク管理委員会において、インフロニア及び各事業会社それぞれのリスク事象について網羅的に洗い出しを行います。リスクの発生頻度と影響度という2つの観点から分類を行い、分類された高リスク領域に対して、低減策の実効性を高めるための具体的な検討を行いPDCAを実践しています。
2023年度は、「ガバナンス」「組織・企業文化」が高リスクで特に重要事項であると評価しました。
「ガバナンス」では、M&Aの実施などによってグループ全体の内部統制機能が十分発揮されないことで生じるリスクに対し、低減に向けた対策を行います。具体的には、インフロニアグループの中長期経営計画達成に向けた各種施策の実施状況について、各事業会社の経営層を交えた定期的なディスカッションを行い検討するとともに、インフロニアの取締役は執行を監督する立場からモニタリングを継続していきます。
「組織・企業文化」では、事業会社ごとの組織・企業文化の相違から生じるリスクの低減対策として、社長から社員への経営方針の直接の浸透の場であるタウンミーティングやVMV及びグループ共通の道しるべ(⾏動指針)「INFRONEER^」(インフロニア・キャレット)の浸透活動を行います。これにより一体感の醸成を推進し、リスクの低減を図ります。
インフロニアは、事業環境の変化に対し、迅速かつ柔軟に対応する効率的な業務執行及び監査体制、リスク管理、コンプライアンスなどグループの適正な業務執行の確保の観点から、内部統制システムを構築・運用しています。
監査委員会の職務を補助する専任組織である監査委員会室は、使用人4名で構成されています。また、監査委員会の監査の実効性を高めるため、社外取締役及び会計監査人並びに子会社社長、監査役及び内部監査部門との定期的な会合等の機会を確保し、情報・意見の交換を行っています。
執行役会議事録及び稟議書類等、執行役の職務の執行に係る各書類について、いずれも関係法令及び関連する社内規定に基づき、関係部署が検索性の高い状態で適切に保存及び管理するとともに、執行役の職務執行状況を取締役会に定期的に報告しています。
リスク管理規程を定め、リスクマネジメントに関する最上位の機関であるリスク管理委員会を四半期毎に開催し、グループ全体の横断的なリスク管理を行っています。
当社が果たすべき社会的な役割と責任を定めた「倫理要綱」を社内イントラネットにおいて全社員へ発信し、企業倫理の確立とコンプライアンスの徹底を図っています。また、内部通報制度規程を定め、「職場のほっとテレホン」や「コンプライアンスホットライン」などの窓口を設置しています。この「コンプライアンスホットライン」は、インフロニア・ホールディングスグループの事業所において、インサイダー取引、横領、背任及び贈収賄(包括的な腐敗防止違反行為全般)、その他コンプライアンスに抵触すると思われる行為を発見した場合に通報できる専用窓口です。不正行為の未然防止や早期発見に努めるとともに、秘匿性・匿名性を担保し利用者等が不利益な取り扱いを受けない体制を整備し、運用しています。2022年度のグループ全体の内部通報件数は52件でした。
会社名 | 通報件数 | 法令違反件数※ | ||
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2021 | 2022 | 2021 | 2022 | |
インフロニア | 0 | 0 | 0 | 0 |
前田建設 | 33 | 31 | 3 | 1 |
前田道路 | 25 | 16 | 2 | 1 |
前田製作所 | 4 | 5 | 0 | 1 |
合計 | 62 | 52 | 5 | 3 |
子会社における業務の適正を確保するため、リスク管理体制、コンプライアンス体制、反社会的勢力排除に関する体制、及び金融商品取引法第24条の4の4「財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制の評価」に基づく体制を整備するとともに、当社で定める関係会社規程に基づき、重要度に応じて執行役会または執行役の承認を受ける体制を整備しています。
当社は、グループ全体の内部監査機能を担う経営監査部を設置し、当社及び子会社の内部監査を行っています。監査にあたっては、財務報告の信頼性、業務の有効性、法令遵守の観点から、リスクアプローチによる効率的な監査を進めています。さらに、主要な子会社にも内部監査部門を設置し、経営監査部との連携を図りながら、グループの内部監査機能を強化しています。