インフロニアグループでは、「ガバナンス」を「健全なリスクテイクを行って新しい事業領域にチャレンジするために必要不可欠な仕組み」と位置づけ、強化に取り組んでいます。当社が目指す「総合インフラサービス企業」実現のためには、当社グループが行ってきた事業に取り組むだけではなく、上流下流を問わず、インフラマネジメントにおけるあらゆる領域に新たにチャレンジしていかなければなりません。反面、未知の領域へのチャレンジにはリスクが伴います。そのため、リスクを適正に評価し、経営者が健全なリスクテイクを行うことを担保する仕組みの整備が必要となります。高度なガバナンス体制をとることによって、リスクマネジメントを適正に行っていることが制度上担保されているからこそ、経営者は、リスクを取るという経営判断を安心して行うことができる。未知の領域にチャレンジできる。そのチャレンジが「総合インフラサービス企業」の実現に近づく。当社では、これこそが「ガバナンス」の本質であると考え、指名委員会等設置会社としてガバナンスの強化に取り組んでいます。
当社の取締役及び執⾏役の報酬に関する決定は、報酬委員会で決定しています。報酬委員会は、公正で透明性の高いプロセスで決定を行い、外部の報酬コンサルタントからの情報収集及び助言も活用し、報酬水準の検証を行っています。2021年度から役員報酬制度の基本方針と報酬体系を定めて運用しており、2023年度からは主要子会社の役員報酬制度についても運用を開始しています。
役員報酬体系は、基本報酬、業績連動報酬、非金銭報酬から構成されています。業績連動報酬は、全社の業績目標の達成度や中期経営計画の目標達成度に応じたインセンティブで、非金銭報酬は、株主との利益共有を目的とした株式報酬から成り立っています。役員の報酬構成は、責任の重さに応じて、業績連動報酬の割合を高めることで、企業価値の向上に貢献するようになっています。
→役員報酬等の詳細は有価証券報告書をご覧ください。監査委員長
橋本 圭一郎 社外取締役 / 取締役会議長
社外取締役5人のうち4人が監査委員を務める監査委員会では、内部統制システムを用いた組織的監査の高度化に注力しています。総合インフラサービス企業を目指す中で、インフラ関連のSPC(特別目的会社)などを活用してグループ一体となって事業を進める機会が増えてきます。ホールディングス体制への移行に伴い、事業会社の監査役体制の変更を進めていますが、監査委員会は事業会社の監査役との連携をこれまで以上に密にして、グループ全体のガバナンス強化につなげていきます。
指名委員長
森谷 浩一 社外取締役
5年先、10年先の事業環境の変化や多様性といった観点を踏まえてサクセッションプランの議論を進めており、次年度から導入します。委員長としてオープンな発言ができる雰囲気づくりを心がけ、今後はガバナンス体制の本格的な構築に向けての議論を加速させます。
報酬委員長
髙木 敦 社外取締役
「成長マインドの醸成」を核に、国内外の先進企業をベンチマークに意欲的な報酬設計を提言しました。我々が目指しているものを実現するには、全社員の「成長したい」という思いを引き出す魅力的な制度設計が必要です。優秀な人材を確保し、社員のやる気を引き出すことで企業価値(期待キャッシュフローの割引現在価値、時価総額)向上に貢献します。
当社グループは、2023年4月1日に腐敗防止ポリシーを定めました。国内外を問わず、公務員及び全てのステークホルダーに対する賄賂、過剰な接待や贈答品の授受、癒着、横領、背任などの腐敗行為の防止を、コンプライアンス徹底における最重要課題の一つとして位置づけ、「倫理要綱」において、公務員や政治団体との健全かつ適正な関係を保ち、違法はもとより、社会から誤解を受けるような行為をしないことを制定し、職員に対する研修を実施しています。また、「国連グローバル・コンパクト」に署名し、「腐敗防止」に係る原則を支持・表明しています。
役員報酬体系は、基本報酬、業績連動報酬、非金銭報酬から構成されています。業績連動報酬は、全社の業績目標の達成度や中期経営計画の目標達成度に応じたインセンティブで、非金銭報酬は、株主との利益共有を目的とした株式報酬から成り立っています。役員の報酬構成は、責任の重さに応じて、業績連動報酬の割合を高めることで、企業価値の向上に貢献するようになっています。
腐敗防止ポリシー
私たちインフロニア・ホールディングスグループ(以下「当社グループ」といいます)は、人々の生活基盤を形成し、豊かな社会の実現に寄与する事業に誇りを持ち、自信をもって社会的使命を担えるよう、企業活動の基本となる「倫理要綱」を定め、法令等の遵守体制を整備し、適切な運用を行っています。
私たちは、この「倫理要綱」のもと、次のとおり「インフロニアグループ腐敗防止ポリシー」を定め、常に公明正大な企業活動を続けていくため、これを遵守していくことに注力していきます。
当社グループは、事業を行う国・地域で適用される法令、規則及びその他の関連法規(以下「法令等」といいます)を遵守し、社会的規範にもとることなく公明正大な企業活動を遂行します。
当社グループは、国内外を問わず、公務員及び法令等によりそれに準ずる取扱いがなされる者(政治家及び政治団体を含みます)並びに当社グループの企業活動に関わるすべてのステークホルダーに対する賄賂、過剰な接待や贈答品の授受、癒着、横領、背任などの腐敗行為の防止を、コンプライアンス徹底における最重要課題の一つとして位置づけ、「倫理要綱」において、公務員や政治団体との健全かつ適正な関係を保ち、違法はもとより、社会から誤解を受けるような行為をしないことを制定しています。また、「国連グローバル・コンパクト」に署名し、「腐敗防止」にかかわる原則を支持・表明しています。
当社グループは、事業会社ごとに「入札談合防止方針」等を定めており、より実効性をもって入札談合防止に努めるものとしています。また、この方針等の改定に合わせて、役職員の遵守すべき「入札談合防止の規程類」も実効性の高い内容とし、例えば、同業他社との会合において入札談合の疑いがある話題が出た場合の退席ルールを明記するとともに、コンプライアンス教育を徹底しています。
当社グループの役職員は、金融商品取引法その他の関連法規並びに内部者取引規制規程その他職務遂行に係る社内規則等の定めを遵守し、重要事実等の適正な管理と内部者取引防止に努め、金融商品取引法その他の関連法規に反する株式等の売買等を行いません。
当社グループの役職員は、適切な内部統制システムのもと、事実に基づき正確に会計帳票その他の記録を作成しかつ適正に会計処理します。また、会計帳票その他の関係資料を一定期間適正に保管します。
当社グループは、各国・地域の法令・規則の変更への対応を適宜行い、透明性を確保するために適時・適切な税務情報を提供します。また、税務調査での誠実な対応などにより、各国・地域の税務当局との信頼関係を構築し、税務に係る透明性と信頼性を確保するよう努めます。
当社グループは、事業活動の内容や法令等違反リスクに照らして、適切な社内規程等の整備・運用を含めた内部管理体制の充実を図り、法令等違反行為の防止に取り組みます。
当社グループは、本ポリシー並びに法令等違反行為防止に係る全ての関係規程が適切に遵守されるよう、当社グループの役職員に対して、本ポリシーを周知徹底し、教育・研修を継続的に実施します。
当社グループは、直面する可能性がある法令等違反行為のリスクを定期的に評価します。また、必要に応じて本ポリシー並びに本ポリシーに基づく措置を見直します。
当社グループは、法令等違反行為及びその可能性のある行為について、役職員から上司やコンプライアンス担当部署(経営監査部、法務・コンプライアンス室)への相談・報告又は内部公益通報を受けるための体制を整備します。また、相談・報告又は内部公益通報を行った役職員に不利益が生じないよう通報者の保護を図ります。
当社グループは、法令等や本ポリシー等に違反する行為並びにその可能性のある行為を発見した場合には、速やかに調査を実施し、違反が認められた役職員への処分等を行います。
当社は、倫理要綱で独占禁止法その他の関連法規の遵守を規定するほか、事業会社でも「入札談合防止方針」等を定めており、より実効性をもって入札談合防止に努めるものとしています。また、この方針等の改定に合わせて、役職員の遵守すべき「入札談合防止の規程類」も実効性の高い内容とし、例えば、同業他社との会合において入札談合の疑いがある話題が出た場合の退席ルールを明記するとともに、コンプライアンス教育を徹底しています。
各国・地域の法令・規則の変更への対応を適宜行い、透明性を確保するために適時・適切な税務情報を提供します。また、税務調査での誠実な対応などにより、各国・地域の税務当局との信頼関係を構築し、税務に係る透明性と信頼性を確保するよう努めます。税負担の軽減措置は適切かつ効果的に利用することで税負担の適正化に努め、税務リスクが高いと想定される場合は、必要に応じて税務専門家に対して助言・指導を依頼し税務リスクの低減に努めます。
これらを確実に実施していくための内部牽制機構の強化、社内監査制度等の整備を行っていきます。それに加え、私たちは常に公私の別を明らかにし自らの姿勢を正すとともに、経営理念に徹することで社会の信頼に応えていきます。
インフロニアの事業展開等に関し、リスク要因となる可能性がある主な事項について、まず各事業会社のリスク管理委員会でリスク情報、事象の洗い出し、リスク対策の実効性の審議を行います。そして四半期に一度開催されるインフロニアリスク管理委員会において、インフロニア及び各事業会社それぞれのリスク事象について網羅的に洗い出しを行います。リスクの発生頻度と影響度という2つの観点から分類を行い、分類された高リスク領域に対して、低減策の実効性を高めるための具体的な検討を行いPDCAを実践しています。
2023年度は、「ガバナンス」「組織・企業文化」が高リスクで特に重要事項であると評価しました。
「ガバナンス」では、M&Aの実施などによってグループ全体の内部統制機能が十分発揮されないことで生じるリスクに対し、低減に向けた対策を行います。具体的には、インフロニアグループの中長期経営計画達成に向けた各種施策の実施状況について、各事業会社の経営層を交えた定期的なディスカッションを行い検討するとともに、インフロニアの取締役は執行を監督する立場からモニタリングを継続していきます。
「組織・企業文化」では、事業会社ごとの組織・企業文化の相違から生じるリスクの低減対策として、社長から社員への経営方針の直接の浸透の場であるタウンミーティングやVMV及びグループ共通の道しるべ(⾏動指針)「INFRONEER^」(インフロニア・キャレット)の浸透活動を行います。これにより一体感の醸成を推進し、リスクの低減を図ります。
インフロニアは、事業環境の変化に対し、迅速かつ柔軟に対応する効率的な業務執行及び監査体制、リスク管理、コンプライアンスなどグループの適正な業務執行の確保の観点から、内部統制システムを構築・運用しています。
監査委員会の職務を補助する専任組織である監査委員会室は、使用人4名で構成されています。また、監査委員会の監査の実効性を高めるため、社外取締役及び会計監査人並びに子会社社長、監査役及び内部監査部門との定期的な会合等の機会を確保し、情報・意見の交換を行っています。
執行役会議事録及び稟議書類等、執行役の職務の執行に係る各書類について、いずれも関係法令及び関連する社内規定に基づき、関係部署が検索性の高い状態で適切に保存及び管理するとともに、執行役の職務執行状況を取締役会に定期的に報告しています。
リスク管理規程を定め、リスクマネジメントに関する最上位の機関であるリスク管理委員会を四半期毎に開催し、グループ全体の横断的なリスク管理を行っています。
当社が果たすべき社会的な役割と責任を定めた「倫理要綱」を社内イントラネットにおいて全社員へ発信し、企業倫理の確立とコンプライアンスの徹底を図っています。また、内部通報制度規程を定め、「職場のほっとテレホン」や「コンプライアンスホットライン」などの窓口を設置し、不正行為の未然防止や早期発見に努めるとともに、秘匿性・匿名性を担保し利用者等が不利益な取り扱いを受けない体制を整備し、運用しています。2022年度のグループ全体の内部通報件数は52件でした。
会社名 | 通報件数 | 法令違反件数※ | ||
---|---|---|---|---|
2021 | 2022 | 2021 | 2022 | |
インフロニア | 0 | 0 | 0 | 0 |
前田建設 | 33 | 31 | 3 | 1 |
前田道路 | 25 | 16 | 2 | 1 |
前田製作所 | 4 | 5 | 0 | 1 |
合計 | 62 | 52 | 5 | 3 |
子会社における業務の適正を確保するため、リスク管理体制、コンプライアンス体制、反社会的勢力排除に関する体制、及び金融商品取引法第24条の4の4「財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制の評価」に基づく体制を整備するとともに、当社で定める関係会社規程に基づき、重要度に応じて執行役会または執行役の承認を受ける体制を整備しています。
当社は、グループ全体の内部監査機能を担う経営監査部を設置し、当社及び子会社の内部監査を行っています。監査にあたっては、財務報告の信頼性、業務の有効性、法令遵守の観点から、リスクアプローチによる効率的な監査を進めています。さらに、主要な子会社にも内部監査部門を設置し、経営監査部との連携を図りながら、グループの内部監査機能を強化しています。