INFRONEER Holdings Inc. INFRONEER Holdings Inc.

環境への取り組み

  • 温室効果ガス排出量の削減と脱炭素社会への貢献

    事業バリューチェーンそのものにおける温室効果ガス等の削減、資源循環への取り組みだけでなく、新たな再生可能エネルギー事業等をけん引するとともに、環境負荷低減に寄与する効率化・高度化技術・工法の開発と導入も促進します。

  • TCFD提言への賛同と情報開示

    TCFDのフレームワークに則り気候変動による財務影響を分析し、気候変動リスク・機会への対応に関するTCFDの提言に沿った気候関連の情報を開示します。(2022年6月30日当社HPにて公開)

  • 環境経営の継続・強化

    前田グループが2009年に掲げた「環境経営No.1」を引継ぎ、ホールディングス全体の取り組みとして「地球への配当」を実施し、生物多様性への取り組み、自然共生社会に向けた取り組み等を継続・強化します。

インフロニアグループでは、事業基盤である自然資本の持続可能な利用と共生に向けて「脱炭素」「資源循環」「自然共生」などの分野を軸に、長期的な視点での取り組みを進めています。加えて、インフロニア独自の「地球への配当」を通じた諸活動を推進しています。

脱炭素社会への取り組み

気候変動に関する方針・考え方

世界は感染症が収束した後の経済回復に向け、温室効果ガスの削減目標を引き上げ、脱炭素と循環型経済への移行を加速しています。当社を取りまく経営環境として、官民連携によるインフラの維持管理・修繕・更新や新規建設において、カーボンニュートラルの取り組みが加わった新たな市場が急速に拡大すると認識しています。当社は2050年までのCO₂排出量の目標値を「実質ゼロ」に設定し、取り組みを推進しています。

TCFD提言に基づく気候関連の情報開示

ガバナンス

当社グループでは気候変動を重要経営課題のひとつとして認識しています。大きなリスクとして危機意識を強く持ちながらも機会として捉え、中長期経営ビジョンを掲げ実現に向けた具体的な取り組みを実行しています。気候変動に関わる基本方針や重要事項については定期的にサステナビリティ委員会にて検討を行うと共に、取締役会の監督が適切に行われるよう体制を整えています。

戦略

当社グループは、気候変動が自社の事業に大きな影響を及ぼすものと認識しています。社会環境や市場の変化を踏まえ、「移行」及び「物理的変化」に関するリスクと機会を抽出・分析・評価しました。 これまでも再生可能エネルギー事業の開発などを行うことによって、事業を通した環境課題・社会課題の解決に積極的に取り組んできました。 引き続き、脱炭素社会の実現や持続的かつ自立型の地域づくりに繋がる事業の推進及び拡大を通じて付加価値の向上を図り、企業のサステナブルな成長を目指します。また、供給者として再生可能エネルギー事業を拡大するだけでなく、エネルギーを大量に消費する需要者としても省エネ化、木造・木質化、低炭素化技術の開発などを通して、脱炭素社会の実現に貢献していきます。

リスク管理

2030年を想定した気候変動シナリオに基づく「移⾏」と「物理的変化」に関するリスクと機会、およびその対応を示します。

分類 リスク
/機会
内容 インパクト評価(2030 年度)
1.5℃
シナリオ
4℃
シナリオ

調達 リスク 調達先が、炭素税又は再エネ導入等の低炭素化コストを製品価格に 転嫁した場合のコスト増 低炭素製品、低炭素燃料への切り替えによるコスト増
直接
排出
リスク 工場設備・EV 車両等への投資、再エネ導入コスト、炭素税等 低炭素商品開発・低炭素施工研究開発(費⽤対効果、投資効果)
製品
サービス
リスク 環境配慮型製品・サービス対応の遅れによる機会損失 価格優位性喪失に伴う顧客流出
機会 ZEB 拡大、革新的建機(EV 等)市場の拡大、低炭素建材施工の提 案 再生可能エネルギー事業の需要増/官民連携市場の拡大

調達 リスク 災害の増加に伴う保険料増加 工場や輸送網の被災による、代替困難な特殊品の納期遅延、災害の 激甚化による調達への影響
直接
排出
リスク 災害激甚化による工事の遅延・保険費増 施設稼働率・来客数の低下による収益低下 作業員の健康影響、生産性低下、製造工程への悪影響 空調エネルギー使⽤量増加に伴うコスト増
製品
サービス
リスク 風水害の増加による施設利⽤客の減少、施設稼働率の低下 風水害等の増加による施設維持管理費の増加 移動・輸送・リゾート系開発事業の採算性の低下
機会 災害復旧工事、災害対策工事(堤防・河川改修)の増加 建造物の強靭化・機能向上(屋内型等)、インフラ維持管理(点検、評価・診断、補修・補強、LCCO₂可視化)サービス
※ 1.5℃(2℃):2030 年までは各国 NDCs 相当の排出制約を想定した B2DS シナリオ、 4℃:IPCC 第 5 次評価報告書の RCP8.5 シナリオを⽤いた。 ※ 経済安全保障に関する規制強化、大規模地震・火山災害に関するリスクは考慮していない。

対応策

調達 本支店、ICI の使⽤電力による CO₂の全量を FIT 非化石証書によりオフセット
協業によりサプライチェーン・ライフサイクルを通した調達改革、業界プラットフォーム構築
直接排出 ゼロカーボン合材の実現に向け、低炭素燃料の活⽤を推進するとともに、アンモニア水素バー ナー等革新的技術の研究、サプライチェーン排出量の削減に向けたシナジーの発揮
グループの RE100 実現のため、ネットワークを活かして再生可能エネルギー事業を拡大
製品・サービス ZEB 建設・改修、再エネ施設の整備、建築環境設計(省エネ、省 CO₂)の高品質化、効率化に 関する開発、災害対策・復旧工事に関する技術開発
低炭素合材・建材の開発、PV、地中熱等再生可能エネルギーの効率化、省エネシステムへの革新技術適応および実⽤化、インフラの長寿命化技術の開発 木造・木質建築の推進・技術開発、林業・加工機械分野の研究開発 EV 建機の拡充、海外需要の取り込み
脱炭素との相乗効果・トレードオフを考慮したサーキュラーエコノミーに資する技術開発
道路・空港等のインフラ整備・運営・維持管理分野において、建設、道路、機器について各社の専門分野のエンジニアリング力によるワンストップサービス
ガバナンス サステナビリティに関する最新情報の提供、デジタルガバメントに対応したシステム更新 電子化による廃棄物処理事業のコンプライアンス強化、IoT活⽤による生産性向上の同時達成 共同調達・バックオフィス機能の活⽤による生産性向上、グループガバナンス体制の強化

指標と目標

CO₂削減目標

対象 目標(2018年度比) 指標
スコープ1,2 排出量 2050年 排出実質ゼロ 排出量の推移グラフを開示
2030年度 40% 削減
スコープ2 排出量
再生可能エネルギー(電力)利用率
2050年度 RE100 再生可能エネルギー(電力)利用率の推移グラフを開示
2030年度 RE60
スコープ3 排出量
(カテゴリ1:委託工事、購入資材)
2030年度 40% 削減 委託工事及び算定可能な購入資材の排出量を開示
スコープ3 排出量
(カテゴリ11:自社施行建物及び製品の使用に伴う排出)
2030年度 40% 削減 排出量を開示
※建物の供用期間はCASBEEの用途別LCCO₂算定機関
※グループ排出量の算定基準はGHGプロトコルに準拠(2021年6月 第三者検証取得

バリューチェーン全体の温室効果ガス(GHG)排出の削減

当社グループでは、「2050年カーボンニュートラル」に向けてバリューチェーン全体での排出削減を進めています。今後、インフラ運営事業においても、サプライヤーやバリューチェーンのステークホルダー間でGHG排出削減の実効性を高めるための情報交換と共有の仕組みを構築し、環境負荷削減のワンストップサービスの構築を目指します。なお、2021年度はGHG排出量算定報告書(2020年度 ホールディングスサプライチェーン排出量)について第三者保証を受けています。
今後、ESG債等の発行を予定しています(2022年9月第一回グリーンボンド発行を実施)。

事業活動の上下流における主なCO₂排出

スコープ 取り組み内容
スコープ1 施工の合理化や先進的な建設機械の使用 低炭素燃料の活用による削減 上記のような取り組みをその主体である協力会社とともに推進 アスファルト合材製造時の排出削減(フォームドアスファルト技術の推進、低炭素合材の販売
スコープ2 各事業所での省エネ活動 非化石証書等によるオフセット 再生可能エネルギー事業による気候変動対策のインフラ整備 アスファルト合材製造時の排出削減
スコープ3 【カテゴリ1:委託工事、購入資材】 資源循環と脱炭素の実現に向けて、ICIを中心としたオープンイノベーションにより技術開発を加速 インフラ運営事業のスコープ3排出量や資源循環率などの可視化・DXの推進により環境配慮調達を実現 【カテゴリー2:資本財】 アスファルト合材調達時、サプライチェーンでのGHGの削減に寄与 【カテゴリ11:自社施工建造物及び製品の使用に伴う排出】 新築と改修のW ZEBや木造・木質建築の推進等を通じて、環境と健康・生産性などの付加価値の顧客提案を推進 機械事業でのEV建機の拡充

建物運用時のCO₂排出量削減事例:中規模事務所ビルのZEB化改修

前田建設はZEBを推進するにあたり、ZEBリーディングオーナー、ZEBプランナーに登録し、設計・施工及びコンサルティングまで行う総合省エネプランナーとしての取り組みを進めています。特に、既存建築物におけるZEB化改修は新築に比べて実施例が少ないなか、前田建設では中規模事務所ビルであるMKD名古屋ビル(愛知県名古屋市)、一口坂中央ビル(東京都千代田区)において、断熱や日射遮蔽等の外皮性能の向上により熱負荷を削減した上で、空調の再設計を実施しました。さらに、汎用的な省エネ技術を組み合わせることにより、両ビルともにZEB Readyを実現しています。今後も、新築及び改修の「W ZEB」(ダブル・ゼブ)に取り組むことにより、ZEBのリーディング企業を目指します。

一口坂中央ビル
※ZEB(ゼブ): Net Zero Energy Building の略称。年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物のこと

第三者検証報告書

インフロニア・ホールディングスでは、報告内容に対する信頼性の確保のために、温室効果ガス排出量(スコープ1、スコープ2およびスコープ3)について、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社※による第三者検証を受審しています。
今後も、第三者検証を有効に活用し、継続的に精度向上に取り組んでいきます。

※画像クリックで拡大します
※画像クリックで拡大します
ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン株式会社

資源循環への取り組み

資源循環に関する方針・考え方

循環経済を前提としたビジネスモデルであるサーキュラーエコノミーへの転換等、国際的な動きへの対応が求められています。インフロニアグループは、インフラの運営(発注)者、排出事業者・処理業者といった複合的な視点から、循環経済の実現に向け、製品のライフサイクルを通じた環境配慮設計の取り組みを進めています。当社の建設事業で利用する再生アスファルト合材の主材料や再生路盤材の殆どは、舗装事業における破砕工場で再生加工された製品を利用しており、「インフラ運営の上流から下流までワンストップでのマネジメント体制」として、資源・副産物物流・スコープ3データの一元化と生産性向上及び、その社会実装モデルの構築を目指します。

建設副産物のリサイクル状況と長期的な資源循環の取り組み

前田道路では、建設工事現場から排出されるアスファルト塊・コンクリート塊を主とするがれき類を受け入れ、年間約800万tを再資源化しています(再資源化率 概ね100%)。再資源化された再生骨材は、再生アスファルト合材の材料としての使用や、建設資材の再生路盤材として販売しています。

産業廃棄物(建設)のリサイクル図

一方、繰り返しの再資源化による再生骨材の品質低下が懸念されましたが、フォームドアスファルト合材の製造により、再生骨材の品質低下を抑制することができました。通常のアスファルト製造よりも加熱温度を30℃程度下げる事で再生骨材中の旧アスファルトの熱劣化を抑制します。今後、全国の工場での製造を展開し、より一層の品質管理の徹底と長期的な資源循環に取り組んでいきます。

自然共生社会を目指して

生物多様性に関する方針・考え方

私たちがめざす「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現には、地球環境という土台が欠かせません。当社グループでは、調達・運用・更新を含めたすべての事業領域において、生物多様性の保全と資源の持続可能な利用に取り組み、社会・地域の安全安心とサステナビリティの実現をめざします。また、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用するグリーンインフラを推進しています。土木・建築・舗装事業では、特に多くの自然資本の投入が必要であることから、環境負荷の低い建材の利用と資源循環モデルの構築に取り組んでいます。今年は地元木材を使った熊本県八代市新庁舎を建設し木造建築の普及に努めました。また、開発を行う際には、生態系の保全等を目的に環境アセスメントを実施し、絶滅危惧種の保護や近隣の生態系保護に取り組んでいます。機械事業では、森林資源の循環利用促進に寄与する林業・加工機械分野の研究開発、インフラ運営事業では、資源の持続的な利用をめざして生物多様性の保全を推進する他、水道系コンセッション事業と関連して水資源の維持など、事業全体で取り組みを進めています。
木造建築の詳細はこちらをご覧ください。
詳細はこちらをご覧ください。

グリーンインフラ事例:浜松防潮堤における取り組み

前田建設は静岡県浜松市において、約17.5kmにわたる防潮堤整備事業に参画しました。この防潮堤は中心部にCSG材を用いることで、津波によって周りの土砂がある程度けずられてもCSGがしっかり残って津波を緩衝する粘り強い構造体となっています。また、覆土により防災林機能の再生が可能となり、環境・景観にも配慮するほか、飛砂や塩害の助長などによる人家への影響が抑制されます。その他、地元NPOとの協働でアカウミガメ保護や希少植物の移植など、自然環境に配慮した施工を行いました。施工期間中より地元の浜松南高校と取り組んでいたカワラハンミョウの保護活動については、事業完了後も同校が取り組みを継続した結果、2021年に環境大臣賞を受賞しました。

浜松防潮堤

地球への配当

当社は地球資源の恩恵を受けながら事業活動を行っていることから、事業利益の一部を、株主配当と同様に投資者「地球」に還元するという考えのもと、地球への配当を通じた諸活動を推進しています。具体的には、連結純利益の2%を目安に配当額を設定しています。また、単に企業として資金を拠出するだけでなく、地域やNPOと協力しながら社員や家族も積極的に関わる活動を推進しています。これは、2010年より前田建設が取り組んできた制度をインフロニア・ホールディングスに引き継いだものです。この地球への配当は、企業としての活動を推進する「グリーンコミット」と「SII(Social Impact Investment)」、個人としての活動を推進する「エコポイント制度『Me-pon』」の3つの枠組みから成り立っています。

地球への配当コンテンツ

グリーンコミット

主に環境に関する社会課題の解決を目的とした活動を支援するためのしくみです。課題ごとにカテゴリーを分け、これらに該当する活動に対して内容を精査し、支援を行っています。

SII(Social Impact Investment)

社会課題解決に資する事業や技術、アイデアを持つベンチャー企業などへの出資を通じた支援を行っています。

エコポイント制度「Me-pon」

日常生活において積極的に環境活動に取り組む社員とその家族を応援し、個人の環境活動の見える化を図ることを目的としたエコポイント制度です。専用のWEBサイトを通じて、社員やその家族が行う自主的な業務外の環境活動に対して会社がポイントを付与します。貯まったポイントで社員ご本人が環境配慮製品などを選んで購入することもでき、地球に優しいしくみです。

→地球への配当の詳細はこちらをご覧ください。

グリーンコミット事例:インフロニアの森 たかもり における森林整備活動

2010年度より自治体が設ける企業の森づくり制度を通じて「インフロニアの森 たかもり」(熊本県阿蘇郡高森町)の協定を結び、継続的に支援を行っています。現地NPO法人と協働して森林保全活動を実施する他、毎年行う森林整備活動では、社員、家族とともに森づくりの輪を広げています。

この活動も10年目を迎えました。植林や森林の下刈り等による地球温暖化抑制への貢献や、ボランティア活動を通じた地域交流への寄与など、長年の取り組みが評価された結果、2022年に熊本県の県知事表彰を受賞しました。

インフロニアの森 たかもり