事業会社 
トップメッセージ

前田建設工業

世の中の時流を捉え
価値創造に挑戦する

前田建設工業株式会社 代表取締役社長 前田まえだ 操治そうじ

1997年前田建設工業入社。2002年6月から取締役、常務執行役員等を歴任し、 2016年同社代表取締役社長(現職)、 2021年10月インフロニア・ホールディングス取締役会長、2025年6月執行役(現職)に就任。

前田建設工業

世の中の時流を捉え
価値創造に挑戦する

前田建設工業株式会社 代表取締役社長 前田まえだ 操治そうじ

1997年前田建設工業入社。2002年6月から取締役、常務執行役員等を歴任し、 2016年同社代表取締役社長(現職)、 2021年10月インフロニア・ホールディングス取締役会長、2025年6月執行役(現職)に就任。

「請負・脱請負の好循環ビジネスモデル」で付加価値向上に取り組む

社会経済の動向や価値観の変化の中で、インフラの老朽化、担い手不足、環境負荷低減など、さまざまな社会課題が顕在化していますが、それとともに建設業に求められる役割も大きく変化しています。企業は常に社会から求められる存在であり続けなければなりません。
変化の激しい時代を迎え、それら変化への対応を怠れば、いくら歴史が長く企業規模が大きい企業でも一瞬でその優位性が失われる時代です。我々はインフラ企業として日頃より技術や安全対策の研鑽に努めると共に、世の中の時流や社会課題にしっかりと向き合い、迅速・果敢に変革に挑戦し、引き続き地域・社会に貢献し続ける企業を目指してまいります。
当社では2019年度から、「NEXT10」という経営計画に取り組んでいます。そこでは、目標実現のための戦略三本柱として、「1.生産性改革」「2.脱請負事業の全社的推進」「3.体質改善」を掲げてきました。2025年度からは「脱請負事業の全社的推進」を第一の項目に移行し、脱請負事業をさらに推進していくと共に、請負事業においても脱請負思考をもって、事業主目線、さらには社会的目線にたち、全社で付加価値創造に取り組んでまいります。そして、請負事業で培ってきたエンジニアリング力とインフラ運営事業で得た知見とノウハウを掛け合わせ、請負と脱請負を融合させた唯一無二のビジネスモデルに引き続き挑戦してまいります。

ビジョン・戦略の浸透による全社的な脱請負思考の加速

脱請負事業を全社的に推進していくためには、社員一人一人が脱請負思考を習慣化する必要があります。このために、できるだけ多くの社員と直接かつ継続的にコミュニケーションをとることが肝要と考えています。具体的には、全国にある支店を全て巡り、直接社員に経営方針を説明し対話する「社長キャラバン」を設けたり、全国の現場をめぐり社員と直接コミュニケーションをとる機会をなるべく多く設けています。これにより、動画配信やメールだけでは伝えられない思いや理念を伝え、請負事業だけでなく脱請負事業/思考を全社的に推進していく組織文化をつくりあげてきました。
このような地道な取り組みの成果が着実にあらわれてきています。インフラ運営事業(再エネ事業除く)のこれまでの獲得実績は、コンセッションが9事業、PFIが18事業、包括的民間委託が18事業です。これは、国内トップレベルの実績です。今期取組み中の新規案件数は30事業の見込みであり、インフラ運営のトップランナーとしての地位をさらに確固たるものにしていきます。

<当社グループが手掛ける国内の主なインフラ運営事業>

脱請負事業の競争優位性

当社が運営するコンセッションは、道路、スタジアム・アリーナ、下水道、工業用水道、MICE、空港と多様な分野にわたります。各案件や地域などの個別事情によりインフラ運営を最適化する手法が異なります。最適解を探索し、最大公約数的に事業価値を最大化するノウハウやリスクマネジメントノウハウを蓄積することが当社の強みとなっています。
特に、DXを活用した効率的な維持管理手法の確立は、今後の事業展開の核となります。なぜならば、属人的な経験ではなくデータに基づいてインフラの更新投資や修繕を実施することが地方公共団体や利用者のコスト負担軽減、あるいは付加価値創造につながるためです。
DXを活用した差別化には多くのデータを蓄積することが不可欠です。この点、当社は多数の実証フィールドを有しており、三浦市下水道コンセッション、大阪市工業用水コンセッションおよび愛知県有料道路コンセッションでは劣化予測などにおいて既に成果が出始めています。
この動きをさらに加速させることを目的のひとつとし、インフロニアとアクセンチュアとの合弁会社「インフロニア ストラテジー&ソリューションズ株式会社」が設立されました。当社がこれまでに蓄積したノウハウとアクセンチュアが有する最先端のデジタル技術や世界中に広がるネットワークを活用し、インフラが直面する社会課題の解決に向けた取組みを加速させる狙いです。
また、インフロニアグループとして当社は案件の特性に応じて最適なパートナーシップを構築しています。当社は豊富な実績を有しておりますが、インフラ運営に必要な多岐にわたる業務は、当社単独で実施することはできません。トップレベルのパートナーシップを構築することが最適なインフラ運営につながります。先述のアクセンチュアとの取組みもこの一貫です。

請負事業のさらなる強化

土木事業の強みは、本支店・作業所における一体的なマネジメントによる迅速な課題解決力です。それが、本支店からの支援を踏まえた現場業務の生産性向上による逸失利益の最小化、つまり全社的な利益の最大化の追求・獲得を可能にしています。
また、従来の施工にとどまらず事業領域の拡大にも挑戦しています。その一例がバングラデシュの地下鉄建設におけるセグメント製造販売事業です。同国で唯一となるシールドセグメント工場を稼働し、高品質な供給体制を構築する計画です。
このほかにも、人体や生態系への悪影響が懸念されているPFAS(有機フッ素化合物)対策にも早期から取り組むとともに、優れた技術を持つ企業などとの戦略的な提携を強化しています。この一例として、メタウォーター株式会社と共同開発した吸着処理システム「De-POP’s ION🄬」の実用化が挙げられます。
建築事業では、データを活用した中長期の受注・完工シミュレーションとリソース管理により請負事業の基盤強化に取り組んでいます。再開発を中心とした大型案件を軸に、受注の安定化を図るとともに、受注規律の徹底により計画と実行の精度を高めています。
また、新たな成長マーケットへの取組みも強化しています。全国で計画が進むスタジアム・アリーナ、需要旺盛なデータセンターや冷凍冷蔵倉庫(食品・食肉加工工場を含む)などを重点分野と位置付け、専門チームを編成して取組みを強化しています。特にスタジアム・アリーナにおいては、脱請負事業との部門横断チームを組成し、IGアリーナのような大規模施設だけでなく、各地域に適した規模の多様なタイプのアリーナに対応するノウハウを蓄積しています。

請負×脱請負の組織力を向上させる人材マネジメント

当社の人材育成の鍵は、上司力の強化と脱請負思考の浸透にあると考えています。
企業が持続的な成長を実現していくには、個の力が欠かせません。将来の成長を見据えた若手の人材育成はもちろんのこと、上司力の強化も大変重要です。現役の上司はもちろんのこと、幹部候補生やミドルを対象に上司力研修を充実させてまいります。
請負で培ったエンジニアリング力が脱請負の領域における当社ならではの優位性であるとともに、請負事業においては脱請負事業の経験・ノウハウが請負事業における我々の強みとなるのです。
今まさに分業・専業から連携の時代です。部門の枠を超え、さらには、請負の枠を超え、事業主目線に立って社会課題や時流の先を捉えることのできる人材が求められています。
部門間・組織間の連携や人材交流を進めるとともに、実践を通した知識や経験、ノウハウの充実、人材育成に努めてまいります。
時代の先を読み、変革に果敢にチャレンジする強い個・強い組織・強い企業文化をもって、我々は、引き続き脱請負事業を加速させるとともに請負事業においても脱請負思考を浸透させ、全社的脱請負の推進を図ってまいります。

“健全な危機感”を持ち改革にチャレンジ

前中期経営計画を振り返ると、物価上昇や労務費の高騰が急激に進む中、当社は受注時における適正利益・適正工期・適正な施工体制の確保に向けた受注規律の徹底や、逸失利益の最小化により業界水準と比べて高い利益を確保できました。
新たに打ち出した「INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画」で掲げる高い目標の達成に向けて、受注規律のさらなる高度化や、コスト競争や環境の煽りを受けないための、プロジェクト上流からの作り込み、グループ会社・協力会社を含めた、効率化に向けた技術開発や、DXの推進など、他社との差別化を意識しながら付加価値の向上に取り組んでまいります。
国内初のBT+コンセッション方式で開発が進められ、当社も設計施工の立場で携わってきたアジア最大規模のアリーナ「IGアリーナ」が、無事に工事完成を迎えました。いよいよ今年7月から30年間の運営が開始されますが、当社は引き続き運営者の立場でインフラ運営事業に参画してまいります。近年、スポーツ市場は年々増加し、市場規模の成長が見込まれる一方で、海外と国内のスポーツ産業化の浸透に大きな差が生じております。地域の活性化や、スポーツ産業全体の発展を踏まえ、課題やリスクを把握しながらも、当社ではそれらを好機ととらえ、入札の時点からより効率的で持続可能な運営や施設の未来価値を最大化できる、インフラと運営を一体とした新しいビジネスモデルを引き続き目指してまいります。
急速に変化するこの時代、将来的な市場縮小が起きた環境下でも継続して利益を上げ、社会に求められ続けるには、グループ、地域、さらには異業種との連携が不可欠であり、パートナーと一体となって、新たな取り組みに挑戦し続ける必要があります。当社はインフロニアグループの中核企業としての自負と責任感を持つとともに、全職員が健全な危機感を持ち、価値創造に向けスピード感のある改革にチャレンジしてまいります。


前田道路

次なる100年に向けて
さまざまな課題に挑戦し
進化と成長を続ける

前田道路株式会社 代表取締役社長 今泉いまいずみ 保彦やすひこ

1981年前田建設工業入社。2010年から取締役、執行役員等を歴任し、2020年6月前田道路代表取締役社長(現職)、2023年6月インフロニア・ホールディングス取締役、2025年6月執行役(現職)に就任。

前田道路

次なる100年に向けてさまざまな課題に挑戦し進化と成長を続ける

前田道路株式会社 代表取締役社長 今泉いまいずみ 保彦やすひこ

1981年前田建設工業入社。2010年から取締役、執行役員等を歴任し、2020年6月前田道路代表取締役社長(現職)、2023年6月インフロニア・ホールディングス取締役、2025年6月執行役(現職)に就任。

創業100周年記念祝賀会の様子

前田道路は、道路工事や建物の外構工事を手がける建設事業と、アスファルト合材の製造・販売を行う製造・販売事業をビジネスの柱としています。全国に約200箇所の拠点を構え、地域に根ざした営業活動を展開し、社会基盤の構築に貢献してきました。
創業から100年、前田道路は社会基盤を支える企業として歩み続け、時代の変化に伴う数々の挑戦に向き合い、社会の発展に寄与してまいりました。しかし、私たちの使命は過去の実績に留まるものではありません。現在直面する社会課題に立ち向かい、未来に向けた新たな価値を創造することこそが、私たちの責任であり、次の100年への挑戦の第一歩です。

「利益重視」の意識改革で築く持続的成長

私たちは、厳しい市場環境の中でも前中期経営計画で掲げた目標を達成することができ、「やりきった」という確かな手応えを感じています。道路工事や外構工事を担う建設事業では受注時利益率の確保に努め、アスファルト合材を製造・販売する製造販売事業では資材価格の高騰分を的確に価格へ転嫁しました。これらは「売上高重視」から「利益重視」へと意識を変革した成果であり、これからの成長を支える重要な一歩となりました。かつての好業績の多くが外部環境の好転に支えられたものであったことを踏まえ、私たちは本当の実力を磨き、事業そのものの成長を追求する必要性を痛感しています。2021年には、ストレートアスファルトの価格高騰や為替変動といった厳しい状況に直面しましたが、他社に先駆けた価格転嫁を実施。現場では懸念もありましたが、顧客との信頼関係や高い品質、日々の丁寧な対応が付加価値として認められ、シェア率を維持することができました。この経験は、価格以上の価値を提供することの重要性を再認識させるものでした。

これからも、地域に根ざしたネットワークや高い品質力といった当社の強みを活かし、インフロニアグループ全体の成長に貢献してまいります。持続可能な成長を実現する企業として、これからも皆さまと共に歩んでいきます。

未来を築くインフラの担い手として

道路業界は、原油価格の高騰や為替の影響を受けた資材価格の上昇に直面しており、さらに価格転嫁が容易ではないという厳しい状況にあります。加えて、アスファルト合材の出荷量も年々減少傾向にあり、30年前には8,000万トンあった出荷量が、2024年度には約3,400万トンにまで縮小しました。この出荷量の減少に伴い、日本全国に存在していたアスファルト合材工場も、ピーク時の約1,700工場から現在では約1,000工場にまで減少しており、業界全体が大きな変革期を迎えています。道路の新設工事は減少傾向である一方、インフラの老朽化に伴う維持修繕工事は今後増加していくと見込んでいます。

そのような環境下において、当社は社会の持続可能な未来を築くため、特に日本のインフラ老朽化への対応を最優先課題と位置付けています。約120万キロに及ぶ日本の道路の維持管理は、地域社会の安全と発展に直結する重要な取り組みです。しかし、人口減少や地方自治体の財源不足といった課題により、その維持管理は容易ではありません。これらの課題に直面しながらも、最新技術の導入や効率的な維持管理の仕組みを構築することで、効率的かつ持続可能なインフラ整備を目指します。この取り組みは、社会的責任を果たすだけでなく、将来的な収益基盤の強化にもつながると確信しています。

未来への挑戦:新たな価値創出と持続可能な成長を目指して

前田道路は、建設事業と製造販売事業という2つの柱を基盤に、長年にわたり社会基盤を支える役割を果たしてきました。近年、使用年数の経過などによる道路の老朽化が深刻な社会課題となっており、経済活動や日常生活に欠かせない重要なインフラである道路の健全性を維持することが、交通の安全性や効率性の確保に直結する重要な課題となっています。この課題に対応するため、私たちはPPP(官民連携)や包括的民間委託事業への取り組みを強化し、第3の柱として事業規模の拡大を図っています。
その一環として、私たちは東京都府中市の道路等包括管理事業を受注し、市内を3工区に分けて道路の点検・清掃・修繕などを包括的に管理しています。2021年4月からは東地区で市道延長182kmの管理業務を担当し、効率的な道路維持管理を通じて地域社会の安全性と利便性の向上に貢献しています。また、埼玉県狭山市においても、道路維持管理業務を包括的に受託し、道路の点検や維持修繕、清掃などを実施することで、地域のインフラ整備に寄与しています。
これらの取り組みを通じて、私たちは道路老朽化という社会課題の解決に向けた先進的なモデルを提供し、持続可能な社会基盤の構築に貢献してまいります。

前田道路は、環境問題への対応を重要な企業使命と捉え、持続可能な社会の実現に向けて積極的な取り組みを進めています。「ecole」は、アスファルトの製造温度を低減する中温化合材で、温室効果ガスの排出削減と省エネルギーを実現する革新的な技術です。当社では、民間工事への出荷を100%「ecole」へ転換することを目標に掲げ、業界の環境対応をリードしています。この取り組みにより、環境負荷を軽減しつつ、施工性と品質を両立させ、持続可能な未来を支えます。

また、原油価格や資材コストの上昇といった課題に対応するため、効率的なコスト管理を徹底するとともに、アスファルトやコンクリートの再生技術、省人化・無人化技術の導入による業務効率化を進めています。これらの取り組みを通じて、競争力を高めるとともに、社会的課題の解決に貢献していきます。

私たちは、顧客との信頼関係を大切にし、高品質な製品とサービスを提供し続けることで、競争が激化する市場環境の中でも確固たる地位を築いてまいります。さらに、M&Aを含めた長期的な視点での成長戦略を推進し、新たな価値を生み出す事業の柱を確立していきます。

これからも、社会と環境に貢献する企業として挑戦を続け、未来を支えるインフラの創造を目指してまいります。

人を育て、未来を拓く企業へ

私たちの企業が持続的に成長し、社会に貢献し続けるためには、「人への投資」が欠かせません。設備や技術への投資と同様に、社員一人ひとりの成長を支える取り組みを最優先に考えています。特に、多様な人材が活躍できる環境を整えることを通じて、企業としての競争力を高め、次のステージへと進化していきます。
私たちは、社員一人ひとりがその能力を最大限に発揮できる環境を整えるため、完全週休二日制の導入を進めるとともに、働きやすい職場環境の実現を目指しています。これにより、社員が仕事とプライベートの両方で充実した時間を過ごせるようサポートし、社員の成長が企業の成長につながる持続可能な発展を目指しています。また、ダイバーシティ推進を重要なテーマとして掲げ、女性の就業比率や管理職比率の向上を目指した中途採用の強化や女性リーダーのロールモデル形成に取り組んでいます。これにより、次世代の女性たちが挑戦できる機会を広げ、多様性を尊重する企業文化の醸成を図っています。これからも、人を育てることを通じて、多様な価値観を受け入れ、次の時代につながる価値を創造する企業であり続けます。
「利益重視」の経営を掲げるのは、未来への投資を積極的に行うためです。社員一人ひとりがその能力を最大限に発揮し、企業と共に成長していける環境を整えることで、持続可能な発展を実現してまいります。これからも、人を育てることを通じて、次の時代に繋がる価値を創造する企業であり続けます。私たちは、社員一人ひとりが安心して働き、成長できる環境を提供することを重視しています。そのために、多様な福利厚生制度を整え、社員とその家族を支える取り組みを行っています。
スキルアップ支援制度では、資格取得にかかる費用を会社が負担し、取得後には報奨金や資格手当を支給します。また、奨学金返還支援制度により、奨学金返済の負担を軽減し、最大320万円の支給を行っています。
家庭生活へのサポートにも力を入れており、単身赴任者に対する月4回の帰宅旅費と単身赴任手当、多子扶養手当や男性社員の出産時休暇、介護休業および休暇制度を設け、社員のライフステージに応じた支援を行っています。また、不妊治療支援や発達に特性のある子ども支援など、特別なニーズに対応した制度も導入しています。
これらの福利厚生を通じて、社員が安心して働き、家庭と仕事を両立しながら成長できる環境を提供し続けます。私たちは、社員の幸せが会社の成長につながると信じています。

次の100年に向けた挑戦を共に

私たちは2025年3月、創業100周年という大きな節目を迎えました。これまでの道のりは決して平坦ではありませんでしたが、先人たちが挑戦を恐れず、多くの課題を乗り越えてきたことで、今日の私たちがあります。「課題がなければ進化もない」という信念のもと、私たちはこれからも挑戦を続けていきます。

道路業界のイメージを変えたい。その想いを胸に、働きやすさを含めた「魅力ナンバーワン企業」を目指し、業界の先頭に立って変革に挑みます。先人から受け継いだ情熱や真摯な姿勢といった私たちのDNAを大切にしながら、次の100年に向けてさらなる成長を遂げてまいります。
永きにわたり私たちを支えてくださったお客様、取引先、協力会社の皆様に心から感謝申し上げます。これからも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げるとともに、未来を切り拓く新たな価値を創造し、社会に貢献し続ける企業でありたいと考えています。


前田製作所

長年培った技術力で
「インフラを支え、
人の暮らしや命を守る」

株式会社前田製作所 代表取締役社長 伊藤いとう 正義まさよし

1992年前田製作所入社、2017年4月から同社執行役員 新規事業部事業部長等を歴任し、2025年6月同社代表取締役社長(現職)に就任。

前田製作所

長年培った技術力で「インフラを支え、人の暮らしや命を守る」

株式会社前田製作所 代表取締役社長 伊藤いとう 正義まさよし

1992年前田製作所入社、2017年4月から同社執行役員 新規事業部事業部長等を歴任し、2025年6月同社代表取締役社長(現職)に就任。

社会課題解決への取り組み

前田製作所はクレーン製品をはじめ、工事現場や公共施設などで使われる建設機械や特殊車両、工事設備などを提供していますが、それらを通じた社会課題の解決が当社の使命であると考えています。前田製作所の目指す社会貢献の姿――私はそれを「インフラを支え、人の暮らしや命を守る」という言葉で表しています。

私たちが直面している社会課題の中でも、特に「老朽化」と「異常気象」、そして「担い手不足」の3つが事業に深く関係しています。まず老朽化についてですが、多くのインフラが建設後50年以上経過し耐用年数を超えていることで、生活者の安全安心が脅かされています。埼玉県八潮市の陥没事故が象徴的ですが、実は当社製品も陥没後の復旧工事に多く使われていました。インフラを支え、人々の命を守ることは、私たちの事業にとって非常に重要な責務です。

このような事故をきっかけに、社会全体でインフラの老朽化への関心と対応の必要性が高まっています。インフラの老朽化に関するニーズが高まっていることは、当社にとっても大きなチャンスです。建設業界の傾向として、これまでは新規開発が中心でしたが、今はリニューアルやメンテナンスにシフトしており、インフラの維持管理に特化した機械や技術の開発が求められています。今後は、インフラや機械が傷んだり壊れたりしてから直すだけではなく、いかに事前に対策を講じるかが重要となります。当社としても、発注者や利用者に対して予防保全の価値を分かりやすく伝え、積極的にその実現に取り組んでいくことが求められています。

次に異常気象ですが、地球温暖化に伴う災害が増えている中で、私たちは次世代に対する責任を強く感じています。
現在、日本では建設機械の電動化があまり進んでいない状況ですが、欧州では急速に進展しています。日本市場でも、GX(グリーントランスフォーメーション)建機政策が策定され、今後の需要に期待しています。当社は主力製品であるミニクレーン分野で他に先駆けて電動化に取り組んできた優位性を活かして、中型、大型へのラインナップ拡充も進めています。将来を見据え、電動製品の普及を着実に進めていくことが私たちの目標です。
また、カーボンニュートラルの実現に向けて、当社自体も着実に歩みを進めています。社内で使用する電力の99%はすでに再生可能エネルギーに切り替えており、残る1拠点についても2025年度中に再生可能エネルギーへ切り替え予定です。これにより、今年度中には社内全拠点の使用電力を100%再生可能エネルギー化できる見込みです。

担い手不足については、建設業界のみならず、社会全体で深刻な問題となっています。省人化や省力化が求められている中、私たちの責任も大きいと感じています。
担い手不足に対する対策として、「自動化」と、省力化に繋がる「遠隔制御」の技術開発を進めています。前田建設と共同で、トンネル工事における資材の自動搬送技術開発を進めているほか、2025年からはクレーンの遠隔制御技術開発も「ICI総合センター」 で本格的に開始しました。これにより、土木や施工の技術を持つ人材だけに頼ることなく、様々な人が場所を問わず作業できるようになります。これが実現すれば、工事の現場が大きく変わるでしょう。
私たちの業界は、今まさに変革の時を迎えています。特に、電動化や省力化の新しい機材が次々と登場し、これまでの工事現場の風景が一変する可能性があります。これからの建設業では、女性や障害者の方々が自宅で機材を操作できる未来が現実味を帯びてきており、それがどのように社会に影響を与えるか非常に楽しみです。
当社は小規模ながらも、常に新しい技術を取り入れ、進化を続けています。技術の進歩が私たちの業界にどのように影響を与えるのか、その波に乗り遅れないようにしっかりと取り組んでいきます。 ※ICI総合センター:前田建設のイノベーション創造拠点

これらの老朽化、異常気象といった環境問題、担い手不足、という3つのテーマは、今後の事業戦略においても中心的な役割を果たします。私たちの技術と製品がこれからの社会に貢献できるよう、不断の努力を続けていきます。

新中期経営計画について  事業価値の向上と未来に向けた成長戦略

前中期経営計画では、不安定な社会情勢や資材価格の高騰といった厳しい経営環境の中、私たちの強みであるメカトロニクス技術 を活かしたナックルブームクレーンなどの新製品や、主力のクローラクレーンの販売が堅調に推移したことなどにより、目標を達成することができました。 ※メカトロニクス技術:機械工学と電子工学、情報技術を融合した技術で、建設機械・産業機械の設計・製造に加え、近年は電子回路の設計・製造も手掛けています。

ナックルブームクレーンMK3053CB
クローラクレーンCC1485 

過去3年間を振り返ると、私たちは短期的な目標は計画を達成することができましたが、海外におけるクレーン事業の拡大など、中長期的な視点での取り組みにはまだ課題が残っていると感じています。目指すべきは、持続的な成長と社会貢献です。

当社はこれまで、事業や製品が持つ高い技術力や耐久性、信頼性などの付加価値を十分に評価し、価格に反映させることができていない面がありました。しかし最近では、高い安全性や省力化・省人化につながる先進的な機能、アフターサービス体制など、当社ならではの付加価値をお客様にしっかりとご説明し、ご理解いただけるようになっています。その結果、価格を適正に設定してもご納得いただき、国内外問わずシェアを維持することができています。特にクローラクレーンにおいては国内で90%のシェアを誇り、その信頼を基盤として収益性も高めることができています。

今後の市場について、短期的には関税の影響など不透明な部分もありますが、中長期的には海外市場、特に北米市場には大きな成長の可能性があります。

当社の海外マーケットは主に欧州、アジア、北米、オセアニアですが、またまだマーケットシェアを上げていくチャンスがあると考えています。特に北米市場においては、十分なシェアを確保できていないためここに大きなチャンスがあると捉えており、私たちの成長戦略において非常に重要な地域となります。今後は、北米市場でのシェア拡大を目指し、製品展開を強化していきます。最近の関税問題は懸念材料ですが、当社の強みは価格競争力だけではありません。北米市場では、当社が製造する小型クレーンを取り扱う競合他社がまだ少ないことも大きな優位性となっています。価格面でも他社より優位に立っているため、関税の影響は限定的だと考えています。

また、収益性向上に向けた取り組みとして、建設機械事業※1では山梨に続き、2025年度から長野・愛知で新たにフォークリフト事業をスタートしました。従来の建設機械事業と相乗効果を生み出し、中長期的な収益基盤強化につなげていきます。また、産業機械事業 ※2では新分野や新製品、サービスを生み出すために企画開発の部署を立ち上げました。これにより収益力向上と付加価値の最大化を図っていきます。
当社は、持続可能な成長を目指して新技術の導入や市場変化に柔軟に対応し、社会や建設業界への貢献を目指して、常に挑戦し続ける姿勢を大切にしていきます。 ※1建設機械事業:コマツ製品の販売・修理・レンタルを主体とした事業
※2産業機械事業:クレーン等自社製品の設計・製造・販売を主体とした事業

現場を支える最先端のコマツ製建設機械(情報通信技術を搭載した建設機械によるICT施工)

こうした収益基盤の強化や競争力の維持には、何よりも人材が重要であり、私たちの成長戦略において必要な人材像は明確です。私たちは「技術のマエダ」をうたってきており、特に設計・電気・サービスなどエンジニアリング分野の人材はとても重要です。今後不足すると思われる分野をターゲットに、幅広い採用活動を通じて、リファラル採用や外国人の採用、また新卒だけではなくスキルを持ったキャリア採用にも力を入れています。これにより、多様なバックグラウンドを持つ人材を確保し、グループの成長に寄与していきたいと考えています。

こうした人材の多様性をいかすためにも、社員とのコミュニケーションを大切にしています。社員の意見をしっかりと聞く仕組みとして、「経営層との意見交換会」を実施しています。月に1~2回営業所を回り、2年間で全社員と対話を重ねています。今年度からは事前にテーマを設定し、課題や提案について自由に意見交換できる方式を取り入れました。この場を通じて、現場の声を直接聞くことで、社員がどのように感じ、何を求めているのかを把握することができます。そして社員の意見を反映させることで、会社全体の雰囲気を向上させ、より良い職場環境の実現を目指しています。環境整備の一環として各営業所のリニューアルも進めています。

グループシナジーの重要性

シナジーの一例として、グループ内での「マシンタッチアプリ」の活用があります。このアプリは保有機械の状態をリアルタイムで把握し、適切なメンテナンスを行うための情報を提供するもので、故障を未然に防ぐことにより、機械の稼働率の最大化やコスト削減に寄与しています。

また、前田建設と共同でトンネルのリニューアル工事においてトンネル内側のカバー(セグメント)を自動で貼る技術も導入しています。これにより担い手不足という社会課題にも対応しながら、効率的な工事を実現しています。こうした取り組みが、私たちの技術力を高め、シナジーを生む基盤となっています。

当社はグループ唯一の機械技術会社であり、メーカーとして独自のノウハウを有しています。今後は、内外のさまざまな課題に対応しながら、グループ内での連携をさらに強化し、技術力の向上と新たな価値創出を目指していきます。

シナジー効果とはグループ全体の成長であり、各事業会社が明確な方向性を持ってそれぞれ成長しながら、グループ全体としての成長を実現していくことが重要です。当社では、単に建設機械やクレーンを販売するのではなく、「インフラを支え、人の暮らしや命を守る」ことを目的として事業を大きくしていくことが必要と考えています。その先にグループとして取り組んでいるインフラ運営や総合インフラサービス企業に繋がり、他のグループ会社と重なる部分で相乗効果が出ることを目指しています。

さいごに

当社はインフロニアグループ唯一のメーカーとして、機械メンテナンス技術とメカトロニクス技術を強みに様々な技術を提供してきました。
これからも、「インフラを支え、人の暮らしや命を守る」存在として「技術のマエダ」を更に進化させて社会課題に取り組んでいきます。新たな技術やサービスを提供し、社会に貢献することが我々の使命だと考えています。私たち前田製作所は、今後も地域社会に貢献し続ける企業でありたいと考えています。


日本風力開発

再生可能エネルギーの
付加価値を高めながら
長期安定的に提供する

日本風力開発株式会社 代表取締役社長 藤谷ふじたに 雅義まさよし

1996年前田建設工業入社。2023年執行役員 経営革新本部事業戦略担当 兼 再生可能エネルギー部長、2024年常務執行役員(現職)等を歴任。2024年1月日本風力開発取締役、同年6月代表取締役社長(現職)に就任。

日本風力開発

再生可能エネルギーの付加価値を高めながら
長期安定的に提供する

日本風力開発株式会社 代表取締役社長 藤谷ふじたに 雅義まさよし

1996年前田建設工業入社。2023年執行役員 経営革新本部事業戦略担当 兼 再生可能エネルギー部長、2024年常務執行役員(現職)等を歴任。2024年1月日本風力開発取締役、同年6月代表取締役社長(現職)に就任。

カーボンニュートラルと地域共生に取り組む

日本風力開発グループは、「風力発電の普及を通じ、エネルギー問題の解決と地域の発展に貢献する」というミッションを掲げています。このミッションは、私たちが事業活動を通じて社会課題の解決に取り組む姿勢を示すものです。私たちの活動は、単なる電力供給を超え、地域とともに成長し、地球環境の保全に寄与することを使命としています。

サステナビリティの観点から見ても、当社のミッションはCSV経営そのものであり、社員一人ひとりが日々の業務の中で、社会や地域に貢献することを意識して取り組むことが大切だと考えています。
さらに、ガバナンスについても法務コンプライアンスや内部監査の体制を刷新し、インフロニアグループの水準に合わせて組織の高度化・定着化を進めています。これにより、より健全で持続可能な経営基盤の構築を目指しています。

現在、エネルギーを取り巻く環境は大きな変革の時期に差しかかっています。データセンターや半導体産業の増加などによって、かつて減少傾向にあった電力需要は増加へと転じている中、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた取り組みがますます重要となっています。2025年2月に閣議決定された「第七次エネルギー基本計画」では、2040年までに再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入目標が電源構成の40~50%とされ、そのうち風力発電は4~8%程度とされています。昨今のエネルギー政策や技術革新によって、再エネの導入は加速していますが、その普及にあたっては、地理的条件や地域の合意形成の難しさ、コスト上昇など、さまざまな課題も顕在化しています。
未来のエネルギー供給を支えるためには、技術革新が欠かせません。例えば、太陽光については、従来のパネルからペロブスカイト等の新素材に移行しつつあります。これらの技術は、屋上や壁面といった従来導入が難しかった場所への設置を可能にし、導入の敷居を下げる役割を果たします。
風力についても、風車の大型化と並行して、設置場所の選択肢拡大が進んでいます。これまでの平らで緩やかな地形から、山の尾根筋など設置難易度の高い地形への導入が進むことで、今までアクセスできなかった場所からの発電が期待されます。ただし、大型化には輸送や建設の技術革新も必要となります。従来以上に用地の造成などで土木分野の高度な技術力が求められますが、こうした場面において、前田建設をはじめ、インフロニアグループとしての技術力やシナジーを発揮できると考えています。

コスト上昇への対応については、資材や人件費が上がる中で、電気の価格への反映が遅れています。電気は公的な要素もあるため、販売価格にすぐには反映されにくい状況があります。ただし、再エネには“電気の価値”に加えて“環境価値”という側面があります。特に、2030年に向けてRE100を宣言している企業の数が増え、環境意識の高まりとともに需要は拡大しており、環境価値は今後ますます高まる見込みです。電気の価格はなかなか上昇しにくいですが、環境価値の部分は今後確実に上昇していき、その結果として再エネの総合的な価値も高まると考えています。

当社は、カーボンニュートラルへの貢献の他、風力発電所を設置する地域との共生、地域活性化も重要な課題と捉えています。風力発電所の設置にあたって、地域の合意形成は当社の事業の根幹を成す重要な要素です。再エネは多くの利点がありますが、発電所建設による自然破壊や災害リスクを懸念する声もあります。しかし、設計や工事の段階でしっかりと対策を行えば、安全な運用ができます。当社は地域の方々に対し、安全性や環境負荷について丁寧にご説明し、ご理解いただきながら、地域のメリットを最大化していきたいと考えています。例えば、道路整備や草刈りといった貢献だけでなく、「風」はその地域の資源であるため、その発電所で生まれた電気をその地域で使っていただけるような提案も積極的に行っていきます。さらに、発電所のO&M(オペレーション&メンテナンス)を通じて、地域の雇用を生み出す取り組みも強化していきたいです。これは、人材確保の難しい時代、当社にとっても非常に大きなメリットになります。

より総合的なサービスへと事業領域を拡大

『INFRONEER Medium-term Vision2027中期経営計画』で掲げた「戦略三本柱」のうち、「インフロニアのビジネスモデルに基づく収益基盤の確立」については、電力事業のバリューチェーン下流への事業領域拡大を図ります。当社は風力発電所の開発・建設・O&Mを行っており、すでに発電事業における「総合インフラサービス企業」の性格を有していますが、今後はFIP制度 ※1への移行に伴い、これまで発電開始をゴールとしていた事業から、さらに下流の領域に拡大していきます。具体的には、需要家への電力の直接供給を行う「小売電気事業」にも取り組むことで、新たな収益を確保します。これまでのFIT制度 ※2では固定の買い取り価格で一定期間の買い取りが決まっていましたが、FIP制度への移行により、今後は電気の需給バランス管理と直接電力需要者との取引が求められています。FIP制度は、再エネの自立を促進し、持続可能なエネルギー市場の構築に寄与するものと考えています。私たちは、この新たなビジネスモデルを活用し、発電から小売までのバリューチェーン全体において競争力を高めていきます。
そのため、専門的ノウハウを持った即戦力人財の確保にも注力していく考えです。また、グループシナジーを活かし、共同開発や需要家開拓など営業力の強化にも取り組んでいます。

「付加価値の最大化」については、エネルギーインフラを長期安定的に維持していくためのO&Mの高度化に取り組んでいきます。20年以上O&M事業を営む中で蓄えてきたノウハウやビッグデータをもとに、DXの技術を活用することで、発電所の稼働率向上や運用の自動化・省力化、経年施設の長寿命化などを実現します。

人材戦略:ユニット型組織を目指す

当社は様々なバックグラウンドを持ち「風力事業をやりたい」という高い志を持つ社員が集まった多様性のある組織です。社員一人ひとりのレベルが高い一方で、今後は個人の力を組織全体として発揮できる体制づくりが重要な課題となっています。特に、地域の理解や合意形成には、経験則や暗黙知に頼る部分が多くあり、これらは体系化しにくく、属人化しやすい傾向があります。しかし、私たちはこれまでの経験を基に、知見を少しずつ整理し、組織のノウハウとして蓄積しています。これにより、属人性を排除し、標準化を進め、誰もが同じやり方で仕事を進められる仕組みづくりに取り組んでいます。この取り組みは、属人化の解消だけでなく、社員の育成や業務の効率化にもつながります。経験豊富な職人のノウハウを形式知に落とし込み、次世代に継承していくことが、今後の組織の強化に不可欠だと考えています。

具体的には、「体質強化・改善」として、2025年4月に組織改編を実施し、それまでの本部制を廃止し、組織をフラット化しました。開発・調査・エンジニアリング・ファイナンスといった機能要素と、プロジェクトチームを縦と横の軸で組み合わせたマトリックス組織とすることで、横の連携を強化し部門横断的なプロジェクトの推進力を高める狙いです。将来的には、小集団でのプロジェクト開発や資金調達を完結できる体制を整えることで、役割や責任を明確化し、スピーディーな開発と高い専門性を兼ね備えた組織づくりを進めています。

また、階層別研修や専門教育も強化し、若手やミドル層には、交渉力や自己啓発を促す研修を行い、経験豊富な社員には、専門知識だけでなく、マルチタスク能力やリーダーシップを養うプログラムを導入しています。社内の専門家を講師として招き、実践的なスキルアップを図る仕組みも整えつつあります。こうした教育投資を通じて、組織全体の生産性向上を目指しています。

人材確保の取り組みについては、これまでのキャリア採用だけでなく、新卒や第二新卒の採用にも力を入れ、即戦力と長期的な人材育成の両立を図っています。採用後の定着のためには、仕事のやりがいと職場の風通しが影響してくると理解していますので、やりがいを持ってもらうために、今後のキャリアプランの例を示し、イメージしてもらうようにしています。社員とのコミュニケーションも重視しており、2024年は子会社を含めた全事業所をまわり、社員と直接対話を行いました。WEBを組み合わせて地方の社員含めて少人数ごとのランチ座談会も行っており、これを約1年続けてきました。社員からは仕事のことだけでなく、働き方や将来の夢など、さまざまな話を聞くことができる貴重な機会となっています。

シナジーを生み出すための取り組み

当社がインフロニアグループに仲間入りしたのは2024年1月ですが、技術共同開発、取引先の相互紹介・情報共有などを行っています。
先述した通り、風力発電施設の工事の部分で、前田建設と技術力やコスト低減について検討していますし、最近では人材交流やローテーションも進めています。社員が異なる事業や部署を経験することで、課題解決のヒントを得て、新たな視点を持つことに役立つと考えており、継続的に行っていきたいです。

今後取り組んでいく「小売電気事業」については、ライセンスが取得できたら、まずはインフロニアグループ内への供給からスタートしようと考えています。前田道路の合材工場などへ供給し、グループ外への需要家へ徐々に拡大していく予定です。

グループとして、単なる資本や労力の共有だけでなく、各企業の得意分野を活かし合うことにより、効率的かつ効果的に事業を推進することができると考えています。

インフロニアグループに加わって1年あまり。さらなる技術開発や営業情報の相互活用などの面でグループシナジーの強化を推進していきます。当社の強みである開発力を発揮して、事業を継続的に生み出すとともに、O&Mをはじめとした運用サービスを高度化し、インフロニアグループの一員として高付加価値な再生可能エネルギーを、需要家にワンストップで、かつ持続的に提供していく会社を目指してまいります。