「旧渡辺甚吉邸」の移築が完了 ~匠の技と最新技術で未来へ受け継ぐ~
<概 要>
インフロニア・ホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区、社長:岐部一誠)グループの前田建設工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:前田操治)は、昭和初期の日本住宅建築における傑作といわれる「旧渡辺甚吉邸」(以下、甚吉邸)をICI総合センター(茨城県取手市)内に移築しました。甚吉邸の名誉館長には建築史家の藤森照信氏が就任し、4月21日、オープニングセレモニーを開催しました。
※現在、一般公開について社内で検討を行っています。内容や時期が決まりましたら、HP等で発信いたしますので、お待ちいただきますようお願いいたします。
<詳 細>
◆旧渡辺甚吉邸とは
甚吉邸は1934年(昭和9年)、港区白金台に岐阜の名家・渡辺家の14代当主、甚吉の私邸として建てられた洋館です。日本の住宅の発展に大きく寄与した住宅専門会社の技師として活躍した、遠藤健三と山本拙郎、そして二人の恩師である今和次郎の3人の共作によって、建築当時の日本における住宅建築の最高水準の経験・知見が凝縮された歴史的建造物です。
国内では数少ない本格的チューダー様式であり、細部装飾に極めて高度な技法が用いられていることだけでなく、それらの特徴ある装飾を含め当初からの姿がほぼ完全に保たれていたことが特徴です。
現在日本では、再開発や老朽化に伴いこうした歴史的建造物の取り壊しが相次いでいます。甚吉邸も解体の危機を迎えましたが、2018年、甚吉邸の保存を求める研究者や有識者の要望に応え、前田建設工業はICI総合センター内への移築プロジェクトを開始しました。
◆移築工事(解体・補修・復原)
移築を前提としていたため、解体を始める前に内部の要所を3Dスキャン、および360度カメラで記録し、慎重に解体を進めました。木材部は90年という月日を経て劣化していましたが、それら欠損部や腐朽した個所は職人が伝統技法により繕いました。
また、前田建設工業で開発されたロボットアーム型木材加工機「WOODSTAR」を使い、3Dデータをもとに精緻な彫刻を正確かつ高速で復原しました。
◆今後の活用
今回の移築プロジェクトでは、スロープを介して甚吉邸とつながる「W-ANNEX」(多目的スペース)を新設しました。設計では当社設計部に加え、株式会社ツバメアーキテクツ一級建築士事務所と株式会社プレイスメディア(ランドスケープ)を招聘しました。今後は甚吉邸とともにさまざまな文化芸術関係者や地域の方々などとの多様なコミュニケーションの場として積極的に活用してまいります。
当社は2019年に創業100周年を迎え、現在は総合インフラサービス企業という新たなビジネスモデルの実現を目指しています。今回の甚吉邸の移築も、社会ストックである歴史的建造物を後世に残し活用しながら保存していくという、総合インフラサービスの一環のプロジェクトです。
【旧渡辺甚吉邸 建物概要】
移築場所/茨城県取手市寺田5270 (ICI総合センター「里山ガーデン」内)
構造規模/木造、地上2階建、塔屋1階建物高さ:10.0m、建築面積256.05㎡、延床面積426.34㎡
【W-ANNEX 建物概要】
構造規模/混構造(木造+鉄筋コンクリート造+鉄骨造)、建築面積298.57㎡、延床面積327.95㎡
★撮影:傍島 利浩
旧渡辺甚吉邸(外観)★
旧渡辺甚吉邸&W-ANNEX(外観)★
旧渡辺甚吉邸(食堂)
旧渡辺甚吉邸(応接室)
■移築プロジェクトの詳細につきましては、HPをご覧ください。
URL:http://www.maeda.co.jp/works/report/genba/65/
<問い合わせ先>
前田建設工業株式会社
経営革新本部 広報部
E-Mail:maeda-release@jcity.maeda.co.jp